藤松博 Hiroshi Fujimatsu


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 藤松博 Fujimatsu Hiroshi (1922―1996)

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《燈火はこちらから》はじめて花火の絵を描いたのは、一九五三年の夏である。青みをおびた乳白色の霧にほんのり花火が開き、まわりへにじんで広がる。淡いが確かに捉えたと思った。本当の花火ではなく、わけのわからぬ燈火があちらからふと現れたのだが――
 その頃、美術のほうも新しい形を求める声が高く、出口を探しさまざまに取沙汰されていた。萌してはいるがうまい手立てがありそうでなく歯痒い時代であった。私も闇雲に手探りをしていた。目をつむった時に、ぽっと燈が瞼の裏にともった。描いては消していたカンバスにほの白い円が現れた。それを淡いながら確かなものにした。本当の花火のようになった。燈火は月、レモン、グラス、人になり、今でも付いたり消えたりする。スイッチをこちらで押して――

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