医療費控除の基礎知識

 

◆ 所得税の計算手順

医療費控除を理解してもらうには、まず医療費控除が所得税の計算過程でどんな位置づけにあるのかを掴んでいただくことが重要です。
ここでは説明を簡単にするためにサラリーマンやOL等給与所得者の平成13年分の例で説明しておりますが、事業所得者等他の所得がある場合でも、医療費控除が所得控除の一種である点は同じです。(なお、この例では所得控除166万円、税額控除5万円として計算しております。)


 税金や社会保険料などを控除する前の、グロスの「給与の年収」が400万円であったとします
給与の年収(400万円)


 ここからサラリーマンやOL等の必要経費に相当する給与所得控除額等を差し引いて給与所得を算出します
給与所得(266万円) 給与所得控除額等
(134万円)


 この給与所得から医療費控除、社会保険料控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、基礎控除などの所得控除を差し引いて課税所得金額を求めます
課税所得金額
(100万円)
医療費控除などの所得控除
(166万円)


 この課税所得金額に所得税の税率を掛けて税額を算出します
算出税額
(10万円)


 ここから住宅借入金等特別控除や配当控除等の税額控除があればこれを差し引きます
差引所得税額
(5万円)
税額控除
(5万円)


 さらに定率減税額を差し引いて所得税額を算出します
所得税額(A)
4万円
定率減税額


 源泉徴収税額(B)がこの税額(A)を超えれば、オーバー分が還付になりますし、逆に不足すればショ−ト分の納付が必要になります
源泉徴収税額(B) 所得税額(A)   還付

所得税額
(A)
源泉徴収税額
(B)
  納付


◆ 医療費控除とは

医療費控除はあなたやあなたと生計を一にする配偶者その他の親族のためにその年中(1月1日〜12月31日)に支払った医療費がある場合に、次の算式によって計算した金額を上の「所得税の計算手順」で説明したように、その年の所得から差し引くことができる制度です。

(算式)
 その年中に支払った医療費の総額 − 医療費を補てんする保険金等の金額 = A
 10万円 と 総所得金額等の5%(※注) とのいずれか少ない方の金額 = B 
 A − B = 医療費控除額 (ただし、最高200万円)

※注 給与所得しかない場合は、給与所得控除額後の金額×5%


したがって、例えば平成13年分の確定申告で医療費控除を受ける場合は平成13年1月1日から平成13年12月31日までに実際に支払った医療費が対象になります。


<ポイント1> 生計が一であれば扶養の有無は問わない
<ポイント2> 親族の範囲は6親等内の血族、3親等内の姻族
<ポイント3> その年の元旦から大晦日までの1年間に支払った医療費が対象
<ポイント4> 未払いはダメ
<ポイント5> 健康保険法の規定による高額療養費、出産育児一時金等や生命保険契約等の給付金は控除するが、傷病手当金や出産手当金は差し引かなくてもよい
<ポイント6> 所得が少ない場合は10万円以下でも医療費控除が受けられる場合がある
<ポイント7> 最高限度額は200万円
<ポイント8> 医療費控除は勤務先での年末調整では行えないため、確定申告が必要
<ポイント9>

共稼ぎの場合は医療費の負担者が明らかでない限り、下記の表のように所得税の税率が累進税率であるため、通常、所得の多い方が医療費控除を行った方が有利

平成13年分 所得税の税額表
課税される所得金額
A(税率)
B(控除額)
千円〜329万9千円
10%
0円
330万円〜899万9千円
20%
33万円
900万円〜1,799万9千円
30%
123万円
1,800万円以上
37%
249万円

課税される所得金額×A−B=課税される所得金額に対する税額




◆ 領収書はマメに保管する

医療費控除を受ける場合には、医療費の領収書を確定申告書に添付するか、確定申告書を提出する際に提示しなければならないので、医療費の領収書は大切に保管することが必要です。
なお、やむを得ない理由により、どうしても領収書が入手できない場合は、治療を受けた者の氏名、支払年月日、支払先、支払金額などの明細を、例えば家計簿の記録などによって税務署に対して説明し、納得してもらうことが必要になってきます。




◆ 領収書のない交通費はメモしておく

通院や入院時の交通費は医療費控除の対象になりますので、その都度、日時、経路、運賃をメモしておきましょう。ただし、マイカーのガソリン代や駐車料金は対象になりません。



△FAQ


◆ 過去の医療費控除は何年前までならできるの? 

◆ 還付申告のモレはいつまでなら請求できるの?

◆ 医療費控除できるのはいくら以上なの? 

◆ 嫁いだ娘の医療費は控除の対象になるの?

◆ 扶養家族でない人の医療費を支払ったとき

源泉徴収税額が「ゼロ」でも還付されるの?

◆ 支払った医療費よりも保険金のほうが多いときって医療費控除はできないの?