御伽噺



 子供の頃に読んだ御伽噺は、大抵ハッピーエンドで終わる。
 たまーに違うのもあるけど、それはそれ。
 王子様やらお姫様が出てくる物で不幸としか思えないのは、人魚姫くらいだと思う。
 あたしが知ってる御伽噺にも限りがあるから、探せば違うのもあるかもしんないけど。
 そんでもって、今まさに。
 あたしは御伽噺の中だと言っても過言じゃない世界に居る。
 望んでそうなったワケじゃないけど、不本意って程でもない。けっこう楽しいし。
 王子様とお姫様が本当に存在していて、それが無意味に面白い。
 それがあたしの友達になったって言うんだから、人生って分からない。
 だけどやっぱり、御伽噺は読んでる方が楽しいと思うのよね。
 楽しいって言うか、ラク?

 「やぁ、メイ。ディアーナに会いに来たのかい?」
 「まぁねん」
 「たまには私の所にも遊びにおいで。異世界の話を聞いてみたいんだ」
 「考えとく」
 「やけに消極的な返事だね」
 「殿下んトコに行くと、キールが煩いんだもん」
 「それはディアーナが相手でも、彼にしたら同じだと思うが?」
 「残念ながら、ちょっぴり違うのよね。どう違うのかは教えないけど」
 「………」
 「そんじゃ、あたし行くわ」
 「…あぁ。楽しんでいくと良い」

 殿下ってさ、ようは王子でしょ?
 気さくって言えば聞こえは良いけど、品が無いワケじゃないけど
 フレンドリー過ぎて、王子っぽくない。
 や、あたしの理想と云うか、御伽噺で得た想像を押し付けられても困るだろうと思うけど。
 ついでに何か、あたしを気に入ってるっぽいのが、どうも…。
 そりゃ、嫌われてるよりはマシだと思うよ? 友達としてなら全然良い。
 でもさ、王子様はお姫様と…ってのが、普通じゃない。
 って言うか、あたしにはそういった固定概念がある。
 よって、殿下に友達以上として気に入られても、ちょっと困る。
 あたしの夢を壊さないでー! って気分になるのよね。
 小さい頃は自分がお姫様で、いつか王子様が迎えに来るんだとか思ってた時期も実はあったりしたけど
 残念ながら現実はそうじゃないし、本当のお姫様が存在してる以上
 あたしはただの異世界人の、女子高生。
 だから、王子様は恋とかの対象外で、見ているだけで満足なのよね。

 そう言えばさ、御伽噺に出てくる魔法使いって、どうして女の人ばっかりなのかね?
 ぜったい、魔女ってなってるでしょ。
 人魚姫も、白雪姫も、その他諸々の姫シリーズって。

 「言われてみれば、そう…ですわねぇ」
 「こっちもそうなの? こんだけ普通に魔道士が居るのに? むしろ、男の人の方が多いのに?」
 「主人公が、お姫様だから…じゃないですの? 多分」
 「なんで?」
 「御伽噺の中のお姫様は、魔法が使えないでしょう?」
 「使えたら自力で幸せになるやぁね。物語として成立しないじゃん?」
 「そうじゃなくって。もし魔法使いが男性で、目の前で魔法を使われたら?」
 「さぁ?」
 「シンデレラで言うなら、顔も知らない王子様より、魔法使いの方が素敵に見えると思いませんこと?」
 「なるほど! だっから魔法使いは魔女なんだー」

 や、これはシンデレラにしか当てはまらないけどさ。
 でもでも、この仮説は良いわ。面白い。
 魔法使いが姫を口説いたなんて話し、聞いたこと無いもん。
 人魚姫もさぁ、魔法使いが格好良い男の人だったら、話しが違ってただろうに。

 「メイはどうですの?」
 「へっ? なにが?」
 「初めて会った頃、言ってましたわ。この世界は御伽噺の中みたいだって」
 「あー、言ってたかもねぇ。それがどうかした?」
 「お兄様が王子様ですし、キールもシオンも魔法使いですけど」
 「殿下はパス。あたしがお姫様ってのが、鳥肌立つ」
 「でしたら、キールやシオンは?」
 「シオンは問題外でしょ、あんな節操無し。キールはねぇ、まぁ…一応あたしを召喚した人だし?」
 「だし?」

 そこで繰り返されても困るんだけど。
 そんな、わくわくした目で見ないでほしいって言うか。

 「キール次第じゃない? 絶対還すって言ってるし」
 「まぁっ。でしたら、メイはキールの事が好きなんですのね?」
 「どうだろうね、嫌いじゃないけど」

 御伽噺は、ハッピーエンドだけとは限らない。
 もしっかあたしが主人公の御伽話を書くとしたら、冒険記風になりそうな気がする。
 異世界に行って来ました。ダリスと云う国を救いました。女神によって還ってきました。…みたいな。
 最後の1個は嘘だけど。
 あたしが断ったんで、まだクラインに居たりするけど、物語にするならこっちの方が締まりが良い。



 そんな事を、その通りに綴ってみた。
 学校やめて、する事なくって、暇だったから。
 そしたら、奨励賞なんつーのに選ばれた。
 だけど残念ながら、あたしはそれを御伽噺の中で知った。
 何でって、魔法使いと結ばれたって良いじゃんか。
 あたしの物語は、ここから始まるのよ。

 「おい、買い物に行くんじゃなかったのか?」
 「え、なになに? 付き合ってくれんの?」
 「たまにはな」




 後書き

 どこがどう御伽噺なのか、自分でもよく分かりませんが。 まぁ、現時点ではこれでいっぱいいっぱいです。

 てーかさ、ホントにさ、無いよな。とりあえず私は読んだ事が無い。
 魔法使いが男なのと、魔法使いとラブラブになっちゃう御伽噺。
 あるんですか? あったら是非にとも教えて下さい。 読みますからっ!(多分)(おい)
 ちなみに私は人魚姫が嫌いです。王子の馬鹿っぷりが。
 そんでもって中学の頃、眠り姫だかの劇で、王妃役をやらされ、舞台上で考え事をしていたツワモノです。
 本番中、王様役の男子に 「おい、台詞」 と小声で突っ込まれました(大笑)
 そして未だに、なぜ私が王妃をやらされたのか理解できません。王より背の高い王妃ってどうよ?(真剣)